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建設業許可取得後の義務について

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建設業許可取得後の義務について

2020年12月01日
建設業許可取得後の義務について

建設業許可は、取得したらそれで終わりというものではありません。建設業許可を取ったその後、5年毎の更新や、毎年の決算変更届の提出、役員などが変わった場合の変更など、やらなくてはいけない義務が発生します。

この義務を怠ると最悪の場合、建設業許可取消になってしまうかもしれませんので、きちんと行いましょう。

以下で建設業許可取得後に必要な法定の手続きについて説明していきます。

 

毎年提出する決算変更届

 

決算変更届とは

 

建設業許可を受けた後は、毎年の事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」という書類を許可を受けた行政庁に提出しなければなりません。

届け出る内容は1年間の工事実績と決算内容です。

事業年度が終了し確定申告を済ませると、税理士さんから決算報告書を受け取ると思います。これを基に建設業簿記に書き換え、工事経歴書や事業報告書とセットにして提出します。

 

決算変更届を提出しなかったら

 

決算変更届は事業年度終了後4ヵ月以内に提出しなければいけません。

この決算変更届の提出を怠ると許可の取り消し対象となり、以下のデメリットが生じます。

 

➀建設業許可の更新や業種追加の手続きができない

建設業許可の有効期限は取得後5年です。この5年毎の更新は、毎年決算変更届を提出していることが前提になります。

この更新の時にまとめて5年分提出すればいいと思っていらしゃる建設業者さんがいらっしゃいますが、決算変更届は毎年提出する義務がありますので、決算が確定したら必ず手続きを行いましょう

また更新と同じく、業種追加も決算変更届を提出していないと申請できません。

 

➁経営事項審査が受けられない

公共工事に参入する場合、経営事項審査を受け、入札参加資格を取得しなければなりません。この経営事項審査は、決算変更届を提出しないと受けることができません。

 

③処分対象になる

大阪府は決算変更届の未提出業者へ厳しい対応を取っており、期限内に提出されない場合は個別指導が行われ、それでも改善されない場合、監督処分が下ってしまう可能性もあります。(詳細はこちら

未提出や虚偽届出の場合、「6か月以下の懲役または100万円以下の罰金」という罰則も定められています。(建設業法50条1項2号)

 

 

各種変更届

 

許可を受けた後、以下の項目に変更があった場合、その期限内に変更届を提出しなければなりません。この変更届を提出していないと罰則規定があります。

また変更届が提出されていないと、更新申請・般特新規申請、業種追加申請はできません。

 

変更事由提出期限
経営業務の管理責任者の変更変更後14日以内
専任技術者の変更
建設業法施行令第3条に規定する使用人
欠格要件に該当した場合
営業所(本店・支店)の変更変更後30日以内
商号または名称の変更
資本金の変更
法人の役員等(株主等を除く)の変更
支配人の変更・個人事業主、支配人の氏名の変更

 

 

5年ごとの更新

 

建設業許可の有効期間は、許可日から5年後の許可取得日と同じ日付の一日前です!

(例:令和2年10月13日に取得した場合、期限は令和7年10月12日まで)

それを1日でも過ぎたら許可が無効になるので、更新する場合は必ず期限内に更新しましょう

更新の申請の手続きは、許可の有効期限の3か月前から開始できます。(都道府県により違う場合あり)

そして期限満了日の30日前までに更新の申請をしなければなりません。

 

➀決算変更届の提出

建設業許可の更新を5年毎に行う為には、毎年必ず決算変更届を提出しなければなりません。この決算変更届が1年でも提出されていないと、更新手続きができません。

➁変更届の提出

経管や専任技術者の変更や社会保険の加入状況の変更など、許可要件の変更は2週間以内に変更届を提出しなければなりません。

また営業所の所在地の変更や、業種の変更など事業者の基本情報に変更があった場合は、変更後30日以内に届け出を提出しなければなりません。

 

この間に変更届を提出する事案が発生していれば必ず変更届を提出してください!

 

                                                                       更新前の重要確認ポイント 

毎年の決算変更届(決算報告)は、漏れなく提出しているか

商号・資本金・役員・営業所・社会保険の加入状況等の変更があった場合、正しく届け出ているか

経営業務の管理責任者・専任技術者・支店長等の常勤性の裏づけ(保険証や標準報酬決定通知書)はあるか

専任技術者に変更はないか

特定許可の場合、直前の決算で財産的基礎の要件をクリアしているか

 

もし更新申請を怠って建設業許可の期限が過ぎてしまったら…?

更新申請をせずに期限を過ぎてしまうと、その時点で許可は失効します。

「何か方法あるんでしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら更新申請をしなかったことに対する救済措置は一切ありません

許可の有効期間中に更新申請を行わなかった場合、それがいかなる理由であろうと建設業許可は失効します。

この場合、再度新規で申請することになるため、必要書類や手数料が更新よりかなり多くなってしまいますし、新規で申請しなおすとしても一定期間は建設業許可を持っていない業者になるため、500万円(建築一式工事の場合1500万円)以上の工事を請け負うことができなくなります。

そうなると自社の経営状態が悪化することになりますし、許可が切れたタイミングで500万円(建築一式工事の場合1500万円以上)以上の工事を請け負っていた場合、建設業法違反になってしまいます。この場合、自社だけでなく元請業者も無許可業者に500万円以上の工事を発注したということで建設業法違反になってしまうなど、多方面に重大な悪影響が出ることになりますので、更新申請は期限までに必ず行うよう注意してください。

なお、行政庁の処理の都合上、有効期間中に更新申請を行っていても期間満了までに新たな許可の通知が行われない場合がありますが、更新申請さえしていれば新たな許可処分がされるまでは従前の許可が有効なものとして扱われますのでご安心ください。(建設業法3条4項)

更新申請をしたのに従前の許可の期限日までに通知書が届かない場合で、発注者や元請業者から新しい許可通知書を提示するように催促された場合、上記の条文と受付印が押してある更新申請書の副本等を提示し説明するなどして理解を得てください。

 

廃業届

 

許可所得後、一部の業種を廃業した場合、または全部の業種を廃業した場合、30日以内に廃業届の提出が必要です。

届出事由届出者
1.個人事業主が死亡相続人
2.法人が合併により消滅解散時に役員であった者
3.法人が破産手続き開始決定により解散破産管財人
4.2及び3以外の事由による法人の解散清算人(代表清算人)
5.建設業を廃止個人事業主又は法人の役員

 

 

標識の掲示

 

建設業許可取得後は、一定の事項を記載した標識を、営業所や工事現場に掲示しなければなりません。許可票を掲示することにより、建設業の営業、建設工事の施工において、建設業法による許可を受けた適正な業者によってなされていることを対外的に証明することができます。その為、掲示は公衆の見えやすい場所に掲げることが義務付けられています。

許可票に記載すべき事項は以下のとおりです。

➀一般建設業または特定建設業の別

➁許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業

③商号または名称

➃代表者の氏名

⑤主任技術者または監理技術者の氏名

 

営業所に掲示する許可票は一般的に「金看板」と呼ばれることもあり、金属でできたものをイメージしますが、許可票の材質に規定は無く、何でも構いません。しかしサイズについては建設業法で定められており、営業所に掲げる許可票は、縦35cm以上×横40cm以上でなければなりません。記載すべき事項が全て書かれていても、この大きさを満たしていない許可票は建設業法違反となります。

 

許可票

 

 

工事現場での主任技術者の配置

 

建設業許可を取得している建設業者は、元請下請関係なく、全ての工事現場に主任技術者または監理技術者を配置しなくてはいけません。

これらの技術者については、こちらの記事で4回にわたって詳しく解説しています。

 

主任技術者・監理技術者とは

 

・主任技術者

全ての工事現場において、施工の技術上の管理をつかさどる者として配置されなければいけません。必要な資格、実務経験は、一般建設業許可の専任技術者と同じです。

 

・監理技術者

発注者から直接請け負った工事で、下請の請負代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の場合は、主任技術者に代えて、監理技術者を配置しなければなりません。(この場合は特定建設業許可が必要)  監理技術者に必要な資格、実務経験は、特定建設業許可の専任技術者と同じですが、さらに監理技術者資格者証を持っていることが必要です。

 

主任技術者の配置が不要なのは、建設業許可の不要な工事で建設業許可を取得していない業者や、配置を省略することができるごく一部の工事のみです。

 

専任技術者と主任技術者

 

専任技術者は、営業所に内勤して適正な請負契約の締結や履行を確保する業務を行う技術者です。

主任技術者は、工事現場に出て工程管理や品質管理等を行う技術者です。

両者は担っている役割や働く場所が異なるため、原則として兼任することはできません。

しかしそれでは1人親方や1人法人の方は、経営業務の管理責任者と専任技術者を兼ねており、現場に出られないことになってしまいます。

よって以下の場合に限り、例外が認められています。

工事現場に専任の必要がない工事に限り

・建設業許可上の営業所で契約を締結した建設工事で

・それぞれの職務に支障がない程度に工事現場と営業所が近接し

・営業所と常時連絡を取りうる体制にあって

・建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある

 

上記の全ての条件を満たす場合は、専任技術者と主任技術者は兼務できます。

 

帳簿の備え付け

 

建設業者は、営業所ごとに営業に関する事項を記載した帳簿を備え、保存しなければならないと定められています。

帳簿の保存期間は5年間(発注者と直接締結した住宅を新築する工事は10年間)とされています。帳簿は任意の書式で構いませんが、建設業法で定められた事項が記載されている必要があります。

 

▼帳簿の記載事項

1.営業所の代表者の氏名・就任年月日

2.注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項

➀請け負った建設工事の名称と現場所在地

➁注文者との契約締結日

③注文者の商号・所在地(注文者が建設業者のときは、許可番号)

➃注文者から受けた完成検査の年月日

⑤工事目的物を注文者に引き渡した年月日

3.発注者と締結した住宅の新築工事の請負契約に関する次の事項

➀当該住宅の床面積

➁建設業者の建設瑕疵負担割合

③発注者に交付している住宅瑕疵担保責任保険法人(資力確保措置を保険により行った場合)

4.下請契約に関する事項

➀下請負人に請け負わせた建設工事の名称と現場所在地

➁下請負人との契約締結日

③下請負人の商号・所在地(下請負人が建設業者のときは、許可番号)

➃下請工事の完成を確認するために自社が行った検査の年月日

⑤下請工事の目的物について、下請業者から引き渡しを受けた年月日

※特定建設業許可の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない)となって、一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く)に建設工事を下請負した場合は、以下の事項についても記載が必要となります。

(1)支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段

(2)支払手形を交付したときは、その手形の金額、交付年月日、手形の満期

(3)代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の支払残額

(4)遅延利息の額・支払日(下請負人からの引き渡しの申出から50日を経過した場合に発生する遅延利息(年14.6%)の支払に係るもの)

 

▼帳簿の添付書類

1.契約書又はその写し(電磁的記録可)

2.特定建設業許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない)となって、一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く)に建設工事を下請負した場合には、下請代金の支払済額、支払った年月日及び支払手段を証明する書類(領主書等)又はその写し

3.建設業者が施工台帳を作成したときは(元請工事に限る)、工事現場に据え付ける施工体制台帳の以下の部分。(工事完了後に施工体制台帳から必要な部分のみを抜粋する)

➀当該工事に関し、実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名と、その者が有する監理技術者資格

➁監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格

③下請負人(末端までの全業者を指す。以下同じ)の商号・名称、許可番号

➃下請負人に請け負わせた建設工事の内容、工期

⑤下請業者が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名と、その者の主任技術者資格

⑥下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格

 

 

まとめ

 

建設業許可は取ったらそれで終わりではありません。大きな工事ができるようになるということは、それ相応の責任が伴うということでもあります。建設業法を正しく守り、建設業許可を継続させていきましょう。

 

弊所では決算変更届や各種変更届、5年ごとの更新についてのご依頼も承っております。

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