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主任技術者と監理技術者 ➀【概要と資格要件】

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主任技術者と監理技術者 ➀【概要と資格要件】

2023年01月10日
主任技術者と監理技術者 ➀【概要と資格要件】

決算変更届や入札の際に出てくる、「主任技術者」や「監理技術者」。

「専任技術者」と似ていてややこしいのですが、建設業許可を取った業者はこれらの技術者を配置する義務がありますので、どんな制度なのか理解しておくことが重要です。

今回は概要について見ていきましょう。

 

主任技術者・監理技術者の概要

 

建設業許可を取得した業者は、元請、下請、金額の大小に関わらず、工事現場に「主任技術者」もしくは「監理技術者」の配置が義務付けられています。

主任技術者・・・建設業許可業者が建設工事を施工する場合に、工事現場における施工の技術上の管理をする

監理技術者・・・特定建設業者が元請として請け負った工事を下請に出す際に、その下請金額の合計が4000万円(建築一式 6000万円)以上になる場合に、主任技術者に代えて配置する技術者

主任・監理技術者の職務は「工事の施工の技術上の管理を行うこと」で、具体的には以下のようなことを行います。

 

 元請の主任技術者、監理技術者、特例監理技術者下請の主任技術者
役割・工事全体の統括・元請から請け負った範囲の施工の管理
施工計画の作成

・工事全体の施工計画の作成
・下請の作成した施工要領書等の確認
・設計変更等に乗じた施工計画書等の修正

・元請が作成した施工計画書に基づいた、請け負った範囲の工事の施工要領書の作成
・元請からの指示に応じた施工要領書の修正

工程管理

・工事全体の進捗管理
・下請間の工程調整
・工程会議の開催、参加、巡回

・請け負った範囲の工事の進捗管理
・工程会議への参加
品質管理・工事全体に関する下請けからの施工報告の確認、必要に応じた立会い確認、事後確認等の実地確認

・請け負った範囲の工事に関する立会い確認

・元請(上位の下請)への施工報告

技術的指導

・工事全体の法令遵守や職務遂行の確認
・現場作業に関する実地の総括的技術指導

・請け負った範囲の工事に関する法令順守の確認
・現場作業に関する実地の技術指導

 

専任技術者と主任・監理技術者の関係

 

専任技術者との違い

建設業許可で必要な技術者と言われると、「専任技術者」が浮かんでくる方も多いのではないでしょうか。

この専任技術者は、営業所に常勤して、請負契約の締結に関して技術的なサポートをする人です。

具体的には、工事方法の検討、見積の作成、発注者(施主)への説明等をすることが主な職務になります。

一方で、主任・監理技術者は現場で技術上の管理をすることが仕事になります。

専任技術者 → 営業所

主任技術者・監理技術者 → 現場

と覚えておきましょう。

 

専任技術者と主任・監理技術者は兼任できる?

先述のように、専任技術者は営業所に内勤する必要があるため、原則的に主任技術者や監理技術者になることはできません。

しかし、専任技術者になれるのは一定の資格や実務経験がある人だけで、基本的に中堅~ベテランの方がなることが多いため、小規模な法人さんだとそのような方が現場に出られないだけでもかなり痛いと思いますし、そもそも一人親方さんの場合は自分が専任技術者になるので、原則通りだと現場に出られる人がいなくなってしまいます。

そこで国土交通省は、以下の要件を満たした場合に、専任技術者であっても主任・監理技術者として現場に出ることを認めています。

 

➀専任技術者が所属する営業所で契約が締結された工事であること

②工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡が取れる体制であること

③所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること

④当該工事に専任する必要がない主任・監理技術者であること

 

②の「現場と営業所が近接」とは、国土交通省の定義では直線距離で10km程度とされています。ただ、発注者によっては別の定義を設けている場合があるため、詳細は各工事の発注者にご確認ください。

また、④についての詳細は第2回をご参照ください。

 

主任技術者・監理技術者になるための要件

 

➀必要な資格、実務経験を有していること

➁建設業者との間に、直接的かつ恒常的な雇用関係があること

 

➀必要な資格・実務経験は 

主任技術者→一般建設業許可の専任技術者の要件と同じ

監理技術者特定建設業許可の専任技術者の要件と同じ(※監理技術者資格者証+監理技術者講習)

となります。

※詳細な資格要件は各業種のページをご覧ください。

 

主任技術者は実務経験や資格を持っていればなることができますが、監理技術者はさらに高度な資格や実務経験に加えて、資格者証を取得し、さらに講習も受講して初めて監理技術者として工事に携われることになります。

「監理技術者の配置が必要=大きな工事で下請業者も多く入る」ということなので、そのような工事の統括的ポジションである監理技術者になるための要件も必然的に厳しくなっています。

参考:監理技術者について | 一般財団法人 建設業技術者センター

 

➁の、直接的かつ恒常的な雇用関係とは、主任技術者・監理技術者とその所属建設業者との間に第三者の介入がな一定の期間にわたり勤務し、かつ毎日一定時間以上職務に従事することになる状況をいいます。公共工事においては、所属建設業者から入札の申し込みのあった日(指名競争の場合で入札の申込を伴わないものは、入札の執行日、随意契約の場合は見積書の提出日)以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要とされています。民間工事においても同程度と考えておくのがよさそうです。

長々と書いてきましたが要するに、「主任・監理技術者はある程度の期間働いている自社の社員にしてください、在籍出向者や派遣社員は認められませんよ」ということです。

※雇用関係については、健康保険証などで確認できることが必要です。

 

まとめ

 

今回は主任技術者・監理技術者制度の概要と資格要件について見てきました。

というわけで、主任技術者と監理技術者②【専任義務とその例外】に続きます。

 

 

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