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32.建設業許可が必要・不必要な建設工事について

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32.建設業許可が必要・不必要な建設工事について

2021年05月31日
32.建設業許可が必要・不必要な建設工事について

例えば、500万円以上のフェリーの内装工事の場合、やはり「内装仕上工事」の建設業許可が必要なのでしょうか。また「委任契約」や「付帯工事」であれば建設業許可は不要なのでしょうか。

まずは建設工事の定義から見ていきます。

 

500万円以上のフェリーの内装工事は無許可業者が請け負っても大丈夫?

 

建設工事の定義

 

建設工事の定義について確認してみましょう。

建設工事とは、建設業法の中で「土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう」と規定されています。

▼建設業法

第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。

                       ~以下省略~

 

別表第一については割愛しますが、「別表第一の上欄に掲げるもの」とは、土木一式工事から解体工事までの建設工事の29種類のことを指しています。建設業法では、この29種類に該当するものが「建設工事」であると定義されます。

ただ、正直これでは何が建設工事に該当するかわかりません。建設工事に該当するか否かは、建設業法の適用があるか否かの違いですので、「建設工事」に該当するということは非常に重要なことです。

 

(参考)建設工事の該非判断方法

 

建設業法における建設工事の定義が乏しいため、建築基準法等のその他の法令等を参考に、建設業法でいう「建設工事」に関して定義しているものがあったので、参考例として記載しておきます。

建築物、建築設備、その他土地に定着する工作物について、次のいずれかに該当する作業を行うこと。

➀新しく造る(取り付ける)

➁造り直す

③取り除く

➃解体する

 

中にはこの定義に当てはめきれないものもあると思いますが、これらに該当するものは、概ね建設業法でいう建設工事に該当すると考えていただいてよいと思います。

▼「建築物」「建築設備」の定義 (建築基準法)

(用語の定義)

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれに当該各号に定めるところによる。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附随する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他のこれらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

~中略~

三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、配水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう

~以下省略~

 

建設工事に該当しないものの例

 

次に示すように茨城県の「建設業許可の手引き」に、「建設工事」に該当しないものの例が掲載されています。

https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/kanri/kensetsu/menue/yousikidownload/kakusyutebiki/documents/r304tebikikyokanituite.pdf

▼建設工事に該当しないもの

保守点検,維持管理,除草,草刈,伐採,除雪,融雪剤散布,測量,墨出し,地質調査,樹木の剪定,庭木の管理,造林,採石,調査目的のボーリング,施肥等の造園管理業務,造船,機械器具製造・修理,機械の賃貸,
宅地建物取引,建売住宅の販売,浄化槽清掃,ボイラー洗浄,側溝清掃,コンサルタント,設計,リース,
資材の販売,機械・資材の運搬,保守・点検・管理業務等の委託業務,物品販売,清掃,人工出し,解体工事で生じた金属等の売却収入,JV の構成員である場合のその JV からの下請工事,自社建物の建設

 

この中に「造船」とありますが、これは船を作ることです。フェリーの内装工事は、まさしくこの造船に該当しますので、建設工事には該当しないということになります。

フェリーの内装工事は分かりやすい例ですが、造船において行う作業には、建設工事に近い作業も多くあります。ではなぜ造船は建設工事に該当しないのでしょうか。それは船が「土地に定着する工作物」ではないからです。「土地に定着する工作物」ではないため、同じ内装工事でも建築物の内装工事は建設工事 (内装仕上工事)となりますが、フェリーの内装工事は建設工事には該当しません。つまり造船に関しては建設業法の各種の規定の適用がないということになります。

 

委託契約の場合、建設業許可は不要なのか?

 

契約書に「委託契約」と書いてあれば、「請負契約」では無いとして、建設業許可は不要になるのでしょうか。

ポイントは契約書のタイトルだけで判断しないことです。

 

請負契約とは

 

民法第632条では、請負について、当事者の一方が仕事を完成することを約束し、もう一方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約、と規定しています。

これを建設業で考えてみると「仕事の完成」は建設工事の完成を指していると解することができます。つまり、建設工事の請負契約とは、当事者の一方が建設工事を完成することを約束し、もう一方が建設工事の完成に対してその報酬を支払うことを約束する契約ということになります。

 

▼民法

(請負)

第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる

 

委託契約とは

 

民法には委託契約に関する規定はありません。委託契約は一般的に「請負」もしくは「委任(準委任)」のいずれかに該当するものとされています。

「委任」は、民法第643条で、当事者の一方が法律行為をすることを契約の相手に委託し、その相手がこれを承諾する契約、と規定されています。また法律行為でない事務の委託は、民法第656条に規定されている「準委任」に該当します。「請負」は完成する責任を負う契約、「委任(準委任)」は業務を行う責任を負う契約であるといえます。

▼民法

(委任)

第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(準委任)

第六百五十六条 この節の規定は、法律行為ではない事務の委託について準用する。

 

契約書のタイトルだけで判断しない

 

建設工事は一般的に「建設工事請負契約」等のタイトルで契約書が交わされていますが、中には「業務委託契約」や「売買契約」等として「請負」という言葉を使わないケースがあります。建設業許可がないために、建設工事の請負であることを意図的に隠すために行う悪質なケースた、機械の売買契約によって機械を購入したら機械の設置工事も含まれているようなケース等です。

しかしながら、建設業法第24条では、契約書のタイトルではなく、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結した契約を建設工事の請負契約とみなすと規定されています。契約書のタイトルではなく、実態として、建設工事の請負契約だと判断されれば、当然建設業法の規定が適用されることとなります。契約書のタイトルが「委託契約」であったとしても、その内容から建設工事の請負契約に該当するかどうかを判断するようにしましょう。

▼建設業法

(請負契約とみなす場合)

第二十四条 委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。

 

 

附帯工事とは?

 

附帯工事は建設業許可が無くても請け負える工事ですが、附帯工事の判断を誤ると、建設業法違反になってしまいます。以下で確認していきたいと思います。

 

建設業許可が無くても請け負える工事とは?

 

建設業法において、建設業許可がなくても請け負うことができる工事が2種類あります。一つは軽微な工事、もう一つは附帯工事です。建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事(附帯工事)を請け負うことができるとされています。

附帯工事とは、次のいずれかに該当する工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいいます。

➀主たる建設工事を施工するために必要な他の従たる建設工事

➁主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事

 

附帯工事は金額に関係なく、500万円以上であっても無許可で請け負うことができますが、許可を受けた建設業に係る建設工事(主たる建設工事)と主従の関係にあるため、原則として付帯工事の金額が主たる建設工事の金額を上回ることはありません。

▼建設業法

(附帯工事)

第四条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

 

※軽微な建設工事:軽微な建設工事とは次の➀➁の建設工事のことをいう。

➀建築一式工事は、1件の請負代金が、1,500万円(消費税及び地方消費税を含む) 未満の工事または請負代金の額に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事

➁建築一式工事以外の工事は、1件の請負代金が500万円(消費税及び地方消費税を含む) 未満の工事

 

附帯工事の判断方法

 

国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/common/001381261.pdf)では、「附帯工事の具体的な判断に当たっては、建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する。」と記載されていますが、これではどう判断していいか余計に悩ましいです。

附帯工事は簡単にいうと、建設業許可を受けて行う主たる建設工事を施工するために、どうしてもくっついてきてしまう切り離せない建設工事のことですので、そのような視点で判断するといいかと思います。

 

附帯工事の事例

 

附帯工事の事例をいくつか挙げてみます。事例によって、附帯工事の判断についてイメージを掴んでみましょう。

▼附帯工事の事例

作業の内容

主たる工事

(許可業者)

附帯工事
➀室内の電気配線の修繕工事をするために行う壁剥がし・壁貼り工事 電気工事 内装仕上工事
➁建物の外壁塗装工事をするために行う足場工事 塗装工事 とび・土工・コンクリート工事
③ビルのエレベーター設置工事をするために行う電気配線工事 機械器具設置工事 電気工事
➃駐車場の舗装工事をするために行う造成工事 舗装工事 とび・土工・コンクリート工事

 

これらの附帯工事はすべて主たる工事を施工するために「どうしてもくっついてきてしまう切り離せない建設工事」です。附帯工事だけでは意味を成さず、主たる工事と附帯工事が一体となって、初めて意味を成すものです。附帯工事はあくまでも主たる工事を施工するための措置であると捉えて、なんでもかんでも附帯工事として請け負うことはやめましょう。

 

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