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34.工事の丸投げについて

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34.工事の丸投げについて

2021年10月05日
34.工事の丸投げについて

工事の丸投げが禁止されていることは、建設業者様ならご存じだと思います。

丸投げは建設業法では、「一括下請負」といいます。では一体何が一括下請負に当たるのか、詳細を見ていきたいと思います。

 

一括下請負は原則として禁止

 

一括下請負が認められると次のようなことが起こると考えられるため、建設業法では原則として一括下請負を禁止しています。

・発注者は、施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度から建設業者を評価し、信頼して発注しているため、それを裏切ることになる

・中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化等が発生する

・施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招く

 

一括下請負とは、元請負人が下請負人の施工に「実質的に関与」することなく、次のいずれかに該当することをいいます。

➀請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

➁請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

 

一括して他の業者に請け負わせることも、他の業者から一括して請け負うこともどちらも禁止されています。元請業者・一次下請業者間はもちろんのこと、一次下請業者・二次下請業者、それ以下の下請業者間でも一括下請負は禁止です。

 

▼全ての請負契約の当事者間で一括下請負は原則禁止

一括下請負は禁止

 

 

発注者の書面による承諾が必要

 

一括下請負は、公共工事においては全面禁止です。民間工事においては、共同住宅を新築する建設工事については禁止で、それ以外は事前に発注者の書面による承諾を得た場合に一括下請負をすることができます。発注者の書面による承諾とは、建設工事の最初の発注者である発注者の承諾です。元請負人の承諾ではありませんので注意してください。

 

▼発注者の書面による承諾が必要

発注者の書面による承諾が必要

 

 

「実質的に関与」とは?

 

「実質的に関与」とは、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うことをいいます。

具体的には、次の表において元請、下請がそれぞれ果たすべき役割を果たすことが必要になります。

 

一括下請負の判断基準

 

➀元請(発注者から直接請け負った者)が果たすべき役割

施工計画の作成

〇請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成

〇下請負人の作成した施工要領等の確認

〇設計変更等に応じた施工計画書等の修正

工程管理

〇請け負った建設工事全体の進捗確認

〇下請負人間の工程調整

品質管理 〇請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
安全管理

〇安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置

技術的指導

〇請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認

〇現場作業に係る実地の総括的技術指導

その他

〇発注者等との協議・調整

〇下請負人からの協議事項への判断・対応

〇請け負った建設工事全体のコスト管理

〇近隣住民への説明

⇒元請は、以上の事項を全て行うことが求められる

 

➁下請(➀以外の者)が果たすべき役割

施工計画の作成

〇請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成

〇下請負人が作成した施工要領書等の確認

〇元請負人等からの指示に応じた施工要領書等の修正

工程管理

〇請け負った範囲の建設工事に関する進捗具合

品質管理

〇請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)

〇元請負人への施工報告

安全管理 〇協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
技術的指導 〇請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守
その他

 〇元請負人との協議※

〇下請負人からの協議事項への判断・対応※

〇元請負人等の判断を踏まえた現場調整

〇請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理

〇施工確保のための下請負人調整

⇒下請は、以上の事項を主として行うことが求められる

(注)※は、下請が、自ら請けた工事と同一の種類の工事について、単一の建設企業と更に下請契約を締結する場合に必須とする事項

出典:国土交通省「一括下請負禁止の明確化について別紙1」https://www.mlit.go.jp/common/001149211.pdf

単に、工事現場に主任技術者・監理技術者を配置しているだけでは、「実質的に関与」しているとは言えません。

 

 

一括下請負の例

 

一括下請負に該当するか否かの判断は、元請負人が請け負った建設工事1件(請負契約単位)ごとに行われます。

請け負った建設工事をすべて丸投げするケースは、一括下請負に該当することが明確ですが、次のように丸投げではなく、部分的に請け負わせるケースでも一括下請負となりますので注意してください。

➀住宅の建築工事(建築一式工事)を請け負った元請負人が、自らは内装仕上工事のみを行い、その他すべての工事を下請負人に負わせる場合

➁外壁塗装工事を請け負った元請負人が、自らは足場工事のみを行い、塗装工事を下請負人に請け負わせる場合

③戸建分譲住宅6戸の新築工事を請け負った元請負人が、そのうちの一戸を下請負人に請け負わせる場合

➀➁のように附帯工事のみを元請負人が行い本体工事を下請負人に請け負わせるようなケースや、③のように元請負人が請け負った建設工事の一部であって他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事を一括して下請負人に請け負わせるようなケースは一括下請負となりますので注意してください。

 

合法的な一括下請負とは?

 

公共工事では、一括下請負が全面的に禁止されていますが、民間工事では、共同住宅を新築する建設工事を除き、元請負人があらかじめ発注者から一括下請負をすることについて書面による承諾を得ている場合、合法的に一括下請負をすることができます。あくまでも、一括下請負は建設業法上、原則禁止であるということを忘れてはいけません。

なお、「共同住宅を新築する建設工事」とは、一般的には、マンション、アパート等を新築する建設工事が該当することになりますが、長屋を新築する建設工事は含まれません。共同住宅であるか、長屋であるかは、建築基準法第6条の規定に基づき申請し、交付される確認済証(建築確認申請書及び添付図書を含む。)により判別することが可能です。

 

合法的に一括下請負をした場合でも主任技術者又は監理技術者の設置が必要なのか

 

発注者から書面による事前承諾を得て、一括下請負をする場合は、次のことに注意する必要があります。

 

➀建設工事の最初の注文者である発注者の承諾が必要であること

➁発注者の承諾は、一括下請負に付する以前に書面により受けなければならないこと

③発注者の承諾を受けなければならない者は、請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせようとする元請負人であること(つまり、下請負人が請け負った建設工事を一括して再下請負に付そうとする場合にも、元請負人ではなく、発注者の書面による承諾を受けなければならないということ)

➃一括下請負に付する元請負人は、主任技術者又は監理技術者を設置すること

出典:「一括下請負の禁止について」(平成28年10月14日国土建築第275号国土交通省土地・建設産業局長通知)https://www.mlit.go.jp/common/001203447.pdf

一括下請負をするとしても、請け負った建設工事について建設業法に規定する責任を果たすことが求められており、主任技術者又は監理技術者の設置が必要とされています。

 

一括下請け負の場合に設置された主任技術者・監理技術者の職務は?

 

 一括下請負とは、いわゆる「丸投げ」ですが、結局元請負人は主任技術者又は監理技術者を設置しなければならず、主任技術者・監理技術者がどんな職務を果たせばよいのかが悩ましいところです。しかしながら、一括下請負の場合の主任技術者・監理技術者の職務については、明確にされていません。

 元請負人が下請工事の施工に「実質的に関与」している場合(上記の表の元請が果たすべき役割を果たしている場合)は、一括下請負には該当しないとされています。逆に考えれば、合法的に一括下請負をする場合は、次の表の全ての職務を行う必要はないということになります。一括下請負の場合の主任技術者・監理技術者については、「発注者との協議・調整」「下請負人からの協議事項への判断・対応」等の職務は残るものと考えておいた方がよさそうです。

 

 

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