30.建設業法を違反した場合の罰則について
2021年01月22日
建設業法を違反した場合について
こんにちは!行政書士 船場事務所です。
お客様とお話していると、たまに「例えば建設業許可取ってなくて工事請け負ったらどんな罰則があるの?」というご質問を頂きますので、今回は建設業法を違反した場合の罰則についてお話ししたいと思います。
罰則について
建設業に関連する法令は多岐にわたり、建設業者は、建設業法だけでなく建設業に関連する様々な法令を遵守する必要がありますが、やはり建設業者にとって中心となる法律は建設業法となります。
この建設業法に違反した場合には、「罰則」と「監督処分」という制裁が用意されています。建設業法違反による罰則は次の表のとおりです。
建設業法違反による罰則
3年以下の懲役または300万円以下の罰金※
・法人に対しては1億円以下の罰金 |
・建設業許可を受けないで建設業を営んだ場合
・特定建設業許可がないのにも関わらず、元請業者となり、4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上となる下請契約を締結した場合 ・営業停止中に営業した場合 ・営業禁止中に営業した場合 ・虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けた場合 |
6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金※ | ・建設業許可申請書に虚偽の記載をして提出した場合
・変更等の届出を提出しなかった場合 ・変更等の届出に虚偽の記載をして提出した場合 ・経営状況分析申請書または経営規模等評価申請書に虚偽の記載をして提出した場合 |
100万円以下の罰金 | ・工事現場に主任技術者または監理技術者を置かなかった場合
・土木一式工事または建築一式工事を施工する場合において、専門技術者の配置等を行わなかった場合 ・許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかった場合 ・登録経営状況分析機関から報告または資料を求められ、報告もしくは資料の提出をしなかった場合または虚偽の報告もしくは虚偽の資料を提出した場合 ・許可行政庁から報告を求められ、報告をしなかった場合または虚偽の報告をした場合 ・許可行政庁から検査を求められ、検査を拒否、妨害、忌避した場合 |
10万円以下の過料 | ・廃業等の届出を怠った場合
・調停の出頭要求に応じなかった場合 ・店舗や工事現場に建設業の許可票を掲げなかった場合 ・無許可業者が建設業者であると誤認される表示をした場合 ・帳簿を作成しなかった場合、虚偽の記載等をした場合 |
※情状により、懲役及び罰金を併科
なお、建設業法違反により罰金以上の刑罰を受けると、建設業許可の欠格要件に該当することとなり、許可の取消がなされる上、その取消の日から5年間は建設業許可を取得することができなくなります。建設業法違反による罰則の影響は大きく、「罰金刑くらい怖くない」と考えていると、許可を取り消され再起を図ることも難しくなってしまいますので、十分注意してください。
監督処分について
建設業者が、建設業法により課せられた義務を履行しない場合や建設業法の規定に違反した場合には、刑罰とは別に許可行政庁による監督処分が用意されています。
建設業法違反による監督処分
指示処分 | 建設業法に違反すると、指示処分の対象となる。法令違反を是正するために監督行政庁が行う命令。 |
営業停止処分 | 指示処分に従わないときは、営業停止処分の対象となる。指示処分なしで直接営業停止処分となることもある。1年以内の期間で、監督行政庁が決定する。 |
許可取消処分 | 不正手段で許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりすると、許可取消処分の対象となる。情状が特に重いと判断されると、指示処分が営業停止処分なしで直ちに許可取消となる場合もある。 |
どのような監督処分等を行うかは、不正行為等の内容・程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案して判断されることとなります。許可行政庁は監督処分基準を定めており、どのようなケースでどのような処分が行われるか記載されていますので、確認しておかれるといいと思います。
具体的にどのような場合にどんな監督処分が下されるかが、「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」にて誰でも簡単に検索をすることが出来ます。これを見ていると監督処分を受けている建設業者さんは少なくありません。
法令違反を犯し、罰則や監督処分になった場合、「知らなかった」では済まされません。またバレなければいいという訳でも当然ありません。
自社の法令遵守体制をしっかり構築し、健全な建設業を営みましょう!