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23.建設業法を違反した場合の罰則について

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23.建設業法を違反した場合の罰則について

2021年01月22日
23.建設業法を違反した場合の罰則について

お客様とお話していると、たまに「例えば建設業許可取ってなくて500万円以上の工事を請け負ったらどんな罰則があるの?」など建設業法を違反した場合、どうなるかという質問があります。今回は建設業法を違反した場合の罰則について、交通事故を起こした場合や、また立入検査についてなどを見ていきます。

 

建設業法を違反した場合について

 

罰則について

 

建設業に関連する法令は多岐にわたり、建設業者は、建設業法だけでなく建設業に関連する様々な法令を遵守する必要がありますが、やはり建設業者にとって中心となる法律は建設業法となります。

この建設業法に違反した場合には、「罰則」「監督処分」という制裁が用意されています。建設業法違反による罰則は次の表のとおりです。

 

▼建設業法違反による罰則

3年以下の懲役または300万円以下の罰金※

法人に対しては1億円以下の罰金

・建設業許可を受けないで建設業を営んだ場合

・特定建設業許可がないのにも関わらず、元請業者となり、4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上となる下請契約を締結した場合

・営業停止中に営業した場合

・営業禁止中に営業した場合

・虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けた場合

6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金※

・建設業許可申請書に虚偽の記載をして提出した場合

・変更等の届出を提出しなかった場合

・変更等の届出に虚偽の記載をして提出した場合

・経営状況分析申請書または経営規模等評価申請書に虚偽の記載をして提出した場合

100万円以下の罰金

・工事現場に主任技術者または監理技術者を置かなかった場合

・土木一式工事または建築一式工事を施工する場合において、専門技術者の配置等を行わなかった場合

・許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかった場合

・登録経営状況分析機関から報告または資料を求められ、報告もしくは資料の提出をしなかった場合または虚偽の報告もしくは虚偽の資料を提出した場合

・許可行政庁から報告を求められ、報告をしなかった場合または虚偽の報告をした場合

・許可行政庁から検査を求められ、検査を拒否、妨害、忌避した場合

10万円以下の過料

・廃業等の届出を怠った場合

・調停の出頭要求に応じなかった場合

・店舗や工事現場に建設業の許可票を掲げなかった場合

・無許可業者が建設業者であると誤認される表示をした場合

・帳簿を作成しなかった場合、虚偽の記載等をした場合

※情状により、懲役及び罰金を併科

なお、建設業法違反により罰金以上の刑罰を受けると、建設業許可の欠格要件に該当することとなり、許可の取消がなされる上、その取消の日から5年間は建設業許可を取得することができなくなります。建設業法違反による罰則の影響は大きく、「罰金刑くらい怖くない」と考えていると、許可を取り消され再起を図ることも難しくなってしまいますので、十分注意してください。

 

監督処分について

 

建設業者が、建設業法により課せられた義務を履行しない場合や建設業法の規定に違反した場合には、刑罰とは別に許可行政庁による監督処分が用意されています。

 

▼建設業法違反による監督処分

指示処分 建設業法に違反すると、指示処分の対象となる。法令違反を是正するために監督行政庁が行う命令。
営業停止処分 指示処分に従わないときは、営業停止処分の対象となる。指示処分なしで直接営業停止処分となることもある。1年以内の期間で、監督行政庁が決定する。
許可取消処分 不正手段で許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりすると、許可取消処分の対象となる。情状が特に重いと判断されると、指示処分が営業停止処分なしで直ちに許可取消となる場合もある。

 

どのような監督処分等を行うかは、不正行為等の内容・程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案して判断されることとなります。許可行政庁は監督処分基準を定めており、どのようなケースでどのような処分が行われるか記載されていますので、確認しておかれるといいと思います。

国土交通省 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

 

具体的にどのような場合にどんな監督処分が下されるかが、「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」にて誰でも簡単に検索をすることが出来ます。これを見ていると監督処分を受けている建設業者さんは少なくありません。

 

 

役員が交通事故を起こしたら、建設業許可は取り消されるのか?

 

建設業者で役員を務める人が起こした交通事故は、許可行政庁による監督処分の対象になるのでしょうか?

国交省の監督処分基準から、監督処分の具体的基準を見ていきましょう。

 

監督処分の具体的基準(適用区分の抜粋)

 

(1)建設業者の業務に関する談合・贈賄罪(刑罰違反(競売入札妨害罪、談合罪、贈賄罪、詐欺罪)、補助金等適正化法違反、独占禁止法違反)

(2)請負契約に関する不誠実な行為

➀虚偽申請

➁一括下請負

➂主任技術者等の不設置等

➃粗雑工事等による重大な瑕疵

⑤施工体制台帳等の不作成

⑥無許可業者等との下請契約

(3)事故

➀公衆危害

➁工事関係者事故

(4)建設工事の施行等に関する他法令違反

➀建設工事の施行等に関する法令違反

ⅰ 建築基準法違反等

ⅱ 廃棄物処理法違反、労働基準法違反等

ⅲ 特定取引に関する法律違反

➁役員等による信用失墜行為等

ⅰ 法人税法、消費税法等の税法違反

ⅱ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反(第32条の2第7項の規定を除く)

➂健康保険法違反、厚生年金保険法違反、雇用保険法違反

(5)履行確保法違反

 

交通事故は、「(3)事故」「(4)建設事故の施行等に関する他法令違反➁役員等による信用失墜行為等」に該当しそうですが、「(3)事故」は建設工事の施行における事故のことで、「(4)建設工事の施行等に関する法令違反➁役員等による信用失墜行為等」は、その対象が税法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法令違反に限定されています。監督処分基準を見る限りでは、役員が交通事故を起こしただけでは、許可行政庁の監督処分の対象とはならなさそうです。

 

建設業許可の欠格要件

 

建設業許可には「欠格要件」という要件があります。欠格要件に該当すると、建設業許可を受けることができません。建設業許可を受けて営業をする建設業者が欠格要件に該当することになれば、許可が取り消されることとなります。交通事故を起こした場合も、この欠格要件に該当し、許可が取り消される可能性があります。

▼欠格要件

許可を受けようとする者が次の(1)から(14)のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあっては(1)または(7)から(14)までのいずれか)に該当するときは、許可を受けることができません。

⑴破産者で復権を得ないもの

⑵一般建設業の許可または特定建設業の許可を取り消され、その取消の日から5年を経過しない者

⑶一般建設業の許可または特定建設業の許可の取り消し処分に係る通知があった日から当該処分があった日または処分をしないことの決定があった日までの間に廃止の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの

⑷前号に規定する期間内に廃止の届出があった場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者または当該届出に係る個人の政令で定める使用人であった者で、当該届出に日から5年を経過しないもの

⑸営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

⑹許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、その禁止期間が経過しない者

⑺禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑻建設業法、建設工事の施行若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑼暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⒁において「暴力団員等」という)

⑽精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

⑾営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年でその法定代理人が前各号または次号(法人でその役員等のうちに⑴から⑷までまたは⑹から⑽までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの

⑿法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、⑴から⑷まで又は⑹から⑽までのいずれかに該当する者(⑵に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、⑶又は⑷に該当する者についてはその者が廃止の届出がされる以前から、⑹に該当する者についてはその者が営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を除く)のあるもの

⒀個人で政令で定める使用人のうちに、⑴から⑷まで又は⑹から⑽までのいずれかに該当する者(⑵に該当する者についてはその者が許可を取り消される以前から、⑶又は⑷に該当する者についてはその者が廃止の届出がされる以前から、⑹に該当する者についてはその者が営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く)のあるもの

⒁暴力団員等がその事業活動を支配する者

ここでいう役員等とは、以下の者が該当します

・株式会社または有限会社の取締役

・指名委員会等設置会社の執行役

・持分会社の業務を執行する社員

・法人格のある各種の組合等の理事等

・その他、相談役、顧問、株主等、法人に対し業務を執行する社員(取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等)と同等以上の支配力を有するものと認められる者か否かを個別に判断されるもの

 

欠格要件では、直接的に交通事故=許可取消、と規定されているわけではありません。交通事故について欠格要件で関係するのは「⑺禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることが無くなった日から5年を経過しない者」です。交通事故は、刑法及び自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)などにより刑罰が規定されています。役員が交通事故を起こし、これらの法律の規定により禁錮以上の刑を受けることになれば、欠格要件に該当し、許可が取り消されることとなります。

 

 

どのような交通事故だと「禁錮以上の刑」になるのか

 

交通事故には、「人身事故」と「物損事故」がありますが、刑罰の対象となっているのは、ほとんどが「人身事故」です。

 例えば飲酒運転で人身事故を起こした場合の「危険運転致死傷罪」や、「過失運転致死傷罪」などは禁錮以上の刑が科せられるものがあります。仮に建設業者の役員がこれらの刑罰を受けると、建設業許可の欠格要件に該当し、許可が取り消されることとなります。

建設業許可を維持し、会社を存続させるためには、建設業法令の遵守だけでなく、日常から様々な法令を意識しなければなりませんし、会社だけでなく、役職員個々人もコンプライアンスを意識することが大事です。

 

 

建設業許可を取得すると、定期的に立ち入り検査があるの?

 

立入検査とは?

 

立入検査とは、建設業法第31条第1項に基づいて、国交省の職員や都道府県の職員により行われる立入検査のことです。元請負人と下請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取引の実現等が主な目的として行われています。

▼建設業法

(報告及び検査)

第三十一条 国土交通大臣は、建設業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若しくは工事施工の状況につき、必要な報告を徴し、又は当該職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他物件を検査させることができる。

2 第二十六条の二十一第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

 

立入検査は、新規に建設業許可を取得した建設業者や、過去に監督処分または行政指導を受けた建設業者、「駆け込みホットライン」等の各種相談窓口に多くの通報が寄せられる建設業者、下請取引等実態調査において未回答又は不適正回答の多い建設業者、不正行為等を繰り返し行っているおそれのある建設業者を中心に実施されています。

 

 

立入検査の頻度

 

ここで気になるのが、立入検査の頻度ですが、頻度については明確に定められているわけではなく、定期的に実施されるものではありません。建設業法第31条第1項にも「特に必要があると認められるときは」と記載されているとおり、許可行政庁が必要と認められる場合に実施されている状況です。

ちなみに、国交省は毎年度の立入検査の実施件数を公表しています。

公表された情報によりますと、令和元年度の実施件数は、598件、平成30年度734件でした。

令和2年3月末時点の、大臣許可業者は、10,259業者ですので、10年に一度くらいは立入検査が行われることになると考えられます。

国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(令和 2 年 3 月末現在)-」 

     「令和元年度「建設業法令遵守推進本部」の活動結果及び令和2年度の活動方針」

 

 

立入検査でチェックされること

 

立入検査は、元請人と下請人との対等な関係の構築及び公正かつ透明は取引お実現等が目的として行われていますので、抽出された調査対象工事について次のような資料を準備して、「請負契約書の交付」「下請代金の支払い」「見積条件の提示」「見積期間」等が適切に行われたかのチェックを受けることとなります。

▼立入検査でチェックされた書類例

➀発注者との契約関係書類

 ・契約書(追加・変更分を含む)

    ・検査結果通知書等(完成日、検査日及び引渡日が確認できる書類)

    ・工程表

    ・施工体系図

    ・施工体制台帳(添付書類、再下請負通知書を含む)

    ・配置技術者に必要な資格を有することを証する書類(監理技術者資格者証、合格書等)

    ・発注者からの入金が確認できる会計帳簿

➁下請負人との契約関係書類

     ・見積関係書類(見積依頼書、見積書等)

     ・契約書(注文書・請書の場合を含む。追加・変更分を含む。)

     ・検査結果通知書等(完成日、検査日及び引渡日が確認できる書類)

     ・下請負人からの請求書及び下請代金の支払日、支払金額が確認できる会計帳簿

 

上記の通り、その作成自体が建設業法で義務付けられている書類であったり、建設業法の規定(検査や支払いの期限等)が守られているかを確認できる書類がチェックされることになります。建設業法の規定が守られているかどうかの検査ですので、日頃から建設業法を遵守している建設業者の方であれば、立入検査は何も怖くありません。いつ何をチェックされてもいいように、日頃から建設業法の規定を守った業務を行いましょう。

参考までに、立入検査が行われる場合、最初は国交省各地方整備局や都道府県の職員から電話連絡等があると思いますが、正式な通知としては、立入検査についての通知書面が届きます。

 

 

まとめ

 

法令違反を犯し、罰則や監督処分になった場合、「知らなかった」では済まされません。またバレなければいいという訳でも当然ありません。

自社の法令遵守体制をしっかり構築し、健全な建設業を営みましょう。

 

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